内容説明
言葉のひとつひとつに悲しみと愛があふれる詩人。
●今日的に意義のある詩人を採り上げ、その代表作を厳選。
●現代仮名遣いによる本文、振り仮名付きで読みやすく。
●各詩には詩人(高橋順子・矢崎節夫・井川博年)による解説をつけ、作者の生い立ち、作詩の背景、詩のもつ魅力がよくわかる。
●各詩人の人生と詩集が一目でわかるビジュアル年譜(写真とイラスト入り)。
●巻末には魅力的な執筆陣によるエッセイを収録。
癒しに満ちた傑作詩を鑑賞解説付きで収録。
本シリーズの最後、第八巻を飾るのは、今の時代にこそ読んでほしい、〈かなしみ〉の詩人、八木重吉。みじかく、とつとつとしたことばで、泣きたくなるようなさびしい感情を詩につづった。すべての詩に鑑賞解説付き。
永遠の詩シリーズは、今日的に意義のある詩人をとりあげ、代表作を厳選しました。わかりやすい解説で、詩があなたにもっと近くなります。
目次
息を殺せ
白い枝
おおぞらのこころ
花になりたい
無造作な雲
大和行
心よ
玉
貫ぬく光
秋のかなしみ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おくちゃん🌸柳緑花紅
55
八木重吉さんの、純粋でまっすぐで、正直で哀しみのある詩が好きです。「草にすわる」が好きな詩でしたが今回は季節が秋だからでしょうか。秋になると果物はなにもかも忘れてしまってうっとりと実のっていくらしい「果物」この明るさのなかへひとつの素朴な琴をおけば秋の美しさに耐えかねて琴はしずかに鳴りいだすだろう「素朴な琴」素朴な琴はあなたの事ですね!と語りかけたのは私です。たくさんの詩が心に寄り添います。 2014/09/05
TakaUP48
41
「活版印刷三日月堂」に何度も登場する八木重吉とその詩に興味を持ち、手にする。尋常小学校、代用教員、内村鑑三 という懐かしい言葉に触れた。気になった詩は、幾つかある「春」のひとつ。「桃子/お父ちゃんはね/早く快くなってお前と遊びたいよ」。子供と遊ぶことを久しくしていない自分にとって、”遊ぶこと”とは何だろうと改めて考えた。「人形」「赤い寝衣」は情景を浮かべながら読んだ。他に「雲:くものある日は/くもは かなしい/くものない日は/そらは さびしい」と、いっておいでの「心よ」、「おおぞらの こころ」かな。2021/02/12
re;
29
この世界に生まれ落ち、いたずらに生を取り上げられる。私はもうこの世界から失われいく。肌を刺す冷たい風。朝露に濡れる草花。ひんやりと、そしてあたたかいこの大地。世界は密やかに息づいているのに、私はただ息絶えていく。もっと見たい景色がある。こわい。こわい。積み重ねることもできずゼロへと還ることがこわい。そんな恐れや、やるせなさを孕みながら率直に綴られる言葉たちの研ぎ澄まされた刃先はこんなにも美しい。この刃にならば貫かれても構わない。何度でも私は貫かれたいと腕を広げて向き合う。重吉は死は生と一続きと囁いている。2023/09/21
せんむ
26
お気に入りさんのレビューで初めて知る事ができた。優し過ぎて壊れそうな詩だが、ど真ん中をズガン!と撃ち抜いてくる。好きな詩人が増えてしまった。2014/10/12
kanata
22
『永遠の詩』シリーズ8巻は、八木重吉。英語を学ぶために協会を訪れたことがきっかけで洗礼を受け、成人してからは内村鑑三の影響から無協会信仰の道へ。今の自分と同じ29歳で妻と子を残し、結核で亡くなった。平たく短めでやさしすぎる詩が多いが、響いたのは「なんというわからぬやつらだろう」の【なんというわからぬやつらだろう/にんげんはそんな家はいらないんだ】と、【なくてもよいものをあえぎもとめるのは/なんというおろかしいことであろうか】である。厳しい目線に身につまされる思いだ。2018/02/04